10歳

5年に上がる春に引越し。超狭い借家から新築の一戸建てへ。
ごみごみした街中から郊外のベットタウン。
子供部屋10畳、壁一面作り付けの本棚。
いじめられっこからプチ脱却。
クラスのM君がアタシを好きだと噂を立てられる。
M君のことがなんとなく気になるが確認出来ず。
(10年後にクラス会で再会、特別ハンサムじゃないけど癒し系のM君は超モテ男子になっていた。その時も確認できぬまま現在に至るw)
初めて犬を飼う。雑種の中型犬、散歩に連れて行って転んで引きずられること数度。
クリスティの「アクロイド殺人事件」を読みミステリーの面白さに目覚める。
同居の曾祖母が亡くなる。初めて身近な人の死というものを認識。
NHKの破天荒な時代劇「天下御免」に熱中

蛇足

彰派だったはずなのに何故か修二君大活躍になってしまったのはなぜ〜?
いやいや、実はラストの修二が彰を捜してるシーンと同時進行で売人のグループに捕まって暴行を受ける彰、見せしめに集団レーイプ!あくまでも抵抗、でも人数にはかなわずあえなく・・・。そのあげく最後は刺されちゃう。つーシーンがフラッシュバックのように脳内妄想では入って来てるんですが、ほら、はてなってアダルト禁止だしさ。ってそーゆー問題じゃないですね。ごめんなさい。
ええとやおい苦手な方は見ないでとお願いしておいたのでこれを読んでるあなたは苦笑いしながらも許して下さってると仮定して、いや、アタシも初めはヤオイネタにするつもりは無かったんですよ。最初は孤児院で育った2人が街のギャングに仲間入りして成り上がろうとする話を考えてて、兄貴分の悪巧みで濡れ衣をかけられて始末されそうになって、2人を助けてくれるオンボロ船の船長の手引きで海外に逃れようとするんだけど、彰が見つかっちゃってやられちゃうつー、まんま日活アクションから持ってきましたのベッタベタな妄想で行くつもりだったんだけど・・・。
どう言うわけか眠ってたはずの腐女子スイッチがオンになっちゃったので、(とまるで自分には責任が無いようなことをぬかしてますよ。この女)
やー今回のも別パターンのベタの中のベタの王道だけどね。

ブルースカイ ブルーへブン

彰は町の有力者の息子。修二は母1人子1人の貧しい暮らし。
すべてに対照的な2人だったが、妙にウマが合い、遊ぶのもイタズラするのもいつも一緒。
「チクショー!どうしたってあいつら2人にはかなわないぜ!」
仲間たちからは常に一目置かれ
「又あの2人か!まったくしょうがないやつらだ!」
街の大人たちは2人に手を焼きながらも、どこか憎めない2人は人々から愛され
幸せな日々を過ごしていた。



しかしこの時がずっと続くことを願っても、誰にも少年時代の終わりはやって来る。
「なあ、お前さえ良ければ親父に言って学費くらいなんとかなると思うんだが・・・。」
「それ以上言うといくらお前でも怒るぞ、俺は自分の力で夢をかなえるつもりさ。」
貧しい家で育った修二は苦労をかけた母に少しでも楽をさせたいと、働きながら学ぶ道を選んだのだ。
「悪かったよ修二。でも俺だってずっと親父の言いなりになってるつもりはないんだ。俺も夢をかなえる為にこの街を出ることを決めたんだから。」
「わかってるさ。いつかきっと2人して夢をかなえて、又一緒にこの空を見ようぜ。」
「ああ。きっと」
2人が街外れの空き地から見上げる空は、何にも遮られる事なく、ただ真っ青に広がっていた。


生まれ育ったよりはるかに大きな街に出て、それぞれの暮らしを始めた2人。
同じ街に暮らしても2人の住む世界は違い過ぎた。狭い故郷の街とはすべてが違っていた。お互いのことを忘れることはなくても、連絡しあうことは無くなって行く。

ある日彰は街のチンピラ達の中に修二に良く似た姿を見つけ、声をかけようとするが見失ってしまう。不安にかられた彰は修二の仕事先をたずねるが修二は既にそこを辞めていた。
職場での理不尽な虐めをずっと耐えてきた修二だったが、盗みの濡れ衣をかけられ、とうとう耐え切れず飛び出してしまっていたのだ。

彰は修二の姿を求めて、盛り場を捜し歩くうちに、偶然街のギャングのボスと出会う。
「良い目をしてるな。気に入ったぞ。困ったことがあればいつでも訪ねて来い。ワシの言うことを聞くつもりがあるのならば、だがな」
ねちっこい視線を彰に送るボス。
「待ってくれボス!そいつは俺らとは別の世界に生きてる奴なんだ。」
そこに現れたのはいまやギャングの手下となった修二だった。
「お前は○○のところに最近入ったチンピラだな。なかなか見所がある奴と聞いているぞ。この坊やとは知り合いなのか?」
「いや、今の俺とは縁も縁もない他人さ。」
「修二!何を言うんだ!」
「馴れ馴れしく俺の名前を呼ぶな!もう俺達は住む世界が違うんだ。お前にこんな場所は似合わない。とっとと失せろ!」


時は過ぎ、修二はギャング仲間の中でも頭角を現して来ていた。
そんなある日修二は彰の父が事業に失敗して巨額の負債を背負ったことを知る。
そして彰の悪い噂も。
さすがに見過ごすことが出来ず、彰の消息を突き止め部屋をたずねる修二。

「彰、随分捜したぞ。」
「へへ、修二今度はお前が俺を捜す番だってか?」
「お前ヤクの売買に手を出してるってのは本当なのか。」
「良く知ってるじゃないか。さすがだな、お前の評判は俺のところにも聞こえてきてるよ。」
「いったいどうしちまったんだ?お前がどうして?」
「遊んでたって腹は膨れないってだけさ。そこをどいてくれ、もう取引に行かなきゃならない時間なんだ。それとも修二お前が俺を買ってくれるのか?」
「彰、お前そんなことまで・・・。」
「冗談だよ。何があっても俺のことを自由に出来るのは俺自身だけだ。俺に残ったものはもうそれだけだからな。」
「彰、俺は・・・」言いかける修二をさえぎるように彰が言葉を吐き捨てる。
「あの時の俺がお前に何もしてやれなかったように、お前も俺に何も出来やしないだろう?そんなもんなんだよ。ガキの友情ごっこはもう終わったんだ。」
逃げるように部屋を出て行く彰。残された修二は無力感にさいなまれながら、それでも自分の連絡先のメモを彰の部屋に残していく。


ある日修二は目をかけられている兄貴分から彰のことを知らされる。
「お前の幼馴染だとか言う彰ってガキはちょいとやり過ぎたようだぜ。ボスのところに連れて行かれるのも時間の問題だな。まあボスの悪い癖であの手のガキには目が無いからおとなしく言うことを聞きさえすりゃ、命まで取られる事はないだろうが。」
「違う、彰はおとなしく言うこと聞くくらいなら死んだ方がマシだって思うに決まってる。」
修二は彰の命乞いをするためにボスのところへ。
「俺が責任を持ってヤクからは手を引かせますから。」
「お前のようなチンピラがどんな責任を負えると言うんだ。バカも休み休み言うんだな。」
「お願いします。なんでもします。」
「ほう、奴の体で払ってもらうはずの貸しだが、代わりにお前の体で贖うと言うのなら、考えてやってもいいぞ。」
「そ、それは・・・」
「ふふ、あっちのガキも悪くないがお前のことも以前から目を付けていたのさ、悪いようにはしない、ワシの言うことを聞けばもっといい思いをさせてやる。」
修二の腕をつかんで引き寄せ、首筋にペロリと舌を這わせながら囁く。
「くっ・・・」
「よしよし、逃げ出さないのは覚悟を決めたと言うことだな。随分辛そうだが、ワシはそういう顔をされるとますますそそられるのさ。可愛がってやるぞ。」


苦痛に満ちた数時間が過ぎ、やっと解放されると修二は這うように自分の部屋に帰り、ベットに倒れこんだ。無理やり飲まされた薬と酒はまだ抜けきっておらず何度も悪夢を見ながら浅い眠りを繰り返した。
部屋の電話が鳴ったのはもう昼をはるかに過ぎた時間。
まだしびれの残る体を何とか起こし電話に出ると、かすれた彰の声
「助けてくれ。奴らに追われてる。」
「彰!お前どこにいるんだ!?」
「ざまあねえな。情けないけどもうだめかもしれない。」
それだけ言って電話は切れた。
よろめく体で彰を捜し街に出る修二。
暗い路地裏の隅にうずくまる彰を修二が見つけたのはそれからどのくらい過ぎてからだったのか・・・。


「彰!しっかりしろ!」
「修二ごめん。やっぱ俺、お前しか助けてくれって言える奴いなかったよ。」
「バカヤロウ!何くだらないこと言ってやがる。あたりまえだろ。」
「ホントごめんな。一緒に夢をかなえるはずだったのに・・・。」
「もういい、分かったからしゃべるな。」
「修二、お前の顔がぼやけて良く見えないよ。俺の手を握っててくれ。」
「握ってるよ。ずっと俺たちは一緒だ。」
「修二、空が見えるよ。あの時と同じあの青空だ。ああ、綺麗だな・・・。」
狭く暗い路地裏の隙間からわずかに覗くのは確かにあの時と同じ青い空。